気分障害について|【公式】神宮前駅こころのクリニック|熱田区神宮前駅の心療内科・精神科

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気分障害について

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気分障害の考え方と治療について

気分障害の考え方と治療について

近年精神科では、日々新しい疾患の捉え方、治療法が見出されてきています。精神科というとまず浮かんでくる「うつ」ですが、この「うつ」が何なのかというところまで、きちんと診断しないと「治療にはしっかり取り組んでいる」「性格を変えようと頑張っている」のに、良くならないということになりかねません。
一般的に使われる「うつ」という言葉は、「うつ状態」「適応障害(によるうつ状態)」「(単極性)うつ病」「双極性障害のうつ病(の時期)」「その他、甲状腺ホルモン異常に伴ううつ病」「認知症の初期症状としてのうつ症状」など様々なタイプのうつ症状を含んでいます。そのため、「うつ」が何からきているのか区別していくことが非常に重要です。これは、精神科以外のどの科でも行われている考え方で、治療法の異なる病気の区別をつけないと、治療には入れないことになります。
この中でも、双極性障害(もしくはその要素のある)のうつ病の診断は重要と考えています。なぜかと言いますと、双極性障害は精神疾患の中でも、その人の人生や広く社会的な影響が特に大きな疾患と考えられているからです。また、双極性障害は、実は診断がつけにくく初診から平均4、5年あるいはそれ以上の期間が診断までに要したと言われるデータもあります。「躁とうつ」がはっきりしていてわかりやすいのでは?と思われるかもしれませんが、「躁」は極軽度であったり長く続かないため、自覚されないことが多いとされます。むしろ、「うつ」で最初の症状が始まり、「うつ」の状態が長期続くことの方が多いのです。それでいて、決して患者様の数が少ないわけではなく、発症年齢も10代から高齢者まで(単極性うつ病より平均発症年齢は若く〜20歳と言われます)幅広く、また再発しやすい疾患でもあり、症状のコントロールがついてからの再発予防が重要になってきます。

気分障害の分類

気分障害の症状や状態は個々の方で大きく異なり、治療薬の選択も人によって大きく変わってきます。

うつ病(単極性うつ病)

よく一般にイメージされる`うつ病`のことです。「うつ」の診断基準を満たして、過去に躁エピソードを認めない方です。このため単極性うつ病とした方が厳密かもしれません。ただ、これから先に躁エピソードがみられた場合、診断は双極性障害となります。`うつ病`は、躁エピソードが過去やこれから先に見られると、双極性障害のうつ病(の時期)となります。単極性うつ病では、抗うつ薬が用いられます。

双極性障害

双極Ⅰ型障害

過去に躁病エピソードが1回以上あった場合診断されます(うつ病エピソードの有無は問いません)。

躁病エピソードとは?

気分が高い状態:高揚して開放的でハイな気分の場合(昔からよくイメージされる躁病)と、不機嫌でイライラした場合(#混合型)の両方のケースがあります。また、加えて次のような症状があります。

  1. 注意が散漫になる・持続しない・気が散りやすい
  2. 睡眠欲求の減退:あまり寝なくても日中活発に動ける、寝なくても平気な状態
  3. 誇大性・誇大妄想、万能感、多幸感
  4. 考えが次々と速いスピードで湧いてくる(思考の促迫)
  5. 何か目的を定めた活動に過剰なほど活発になる
  6. 話すと早口で多弁で止まらなくなる
  7. 衝動的で軽率な行動が増える:浪費、性的逸脱、突然旅行に出る、無謀運転など

Ⅰ型とは、こうした症状が重大な社会的あるいは職業上の機能障害を伴っている場合です。

混合型とは?

躁エピソードとは?で出てきた言葉です(#)。何が混合しているのかというと、躁症状とうつ症状が同時に出ているということです。反対の症状が同時におきるというと不思議に感じるかもしれませんが、珍しくない症状で、危険な状態でもあります(自覚的にも苦しい状態のことが多いです)。
例えばうつ病の症状で、憂うつで、何事にも否定的な気分、無価値観、罪責感がひどい状態になっていて、躁病の要素である速い思考(思考促迫)が加わると、ネガティブな考えを急速に頭の中で反復し絶望的な気分、ひどい怒り、強烈な不安、焦燥感、ひどい興奮などに至ることがあります。
また、混合状態は、双極Ⅰ型、Ⅱ型障害、双極スペクトラム障害のどのタイプでもおこり得ます。
混合状態は抗うつ薬により、誘発されることがあり、特に診断しづらい双極Ⅱ型障害や双極スペクトラム障害(単極うつ病との区別が難しい疾患)の診断に注意することが重要です。

双極Ⅱ型障害

Ⅰ型との大きな違いは、躁症状で「重大な社会的あるいは職業上の機能障害」を伴っていない場合です。※躁症状の最低持続期間などで若干基準に差があります。
ただし、Ⅱ型はⅠ型の軽症型かというと、そうではありません。うつ症状は同様に重いこと、逆に頻回であったり長期間続くこともあります。このため、うつ症状での困り具合はⅠ型より強いこともあります。

双極スペクトラム障害という考え方

単極性うつ病から双極Ⅰ型障害を両端として、ぴったりそれぞれカテゴリーに区別できるわけではなく、それぞれの診断の間に中間の症状があって、それが途切れることなく連続して気分障害のスペクトラムを作っていると言う考え方です(自閉症スペクトラムと似たような考え方です)。このため、気分障害は、画一的な症状ではなく、個々の人で様々な症状の現れ方をします。
この中で、「双極性の要素」を重視していく考えがあります。典型的な単極性うつ病の基準は満たさないが、双極Ⅰ、Ⅱ型障害とも診断できないケースが多くあります。主にうつ病の症状で悩まされているけれども、典型的な単極性うつ病の症状とは異なるし、双極性障害でみられる症状はいくつか持っているようなケースです。
どうしてこれが重要になるかというと、治療が大きく変わってくることがあるからです。単極性うつ病の治療とは異なった治療が必要かもしれません。また個人ごとに有効な薬剤や副作用の出やすい薬剤が異なってくるかもしれません。

※興奮の強い躁状態、希死念慮の強いうつ状態では入院治療が必要になることが多く、入院施設のない当クリニックでは対応困難です。

※薬物治療が重要になる領域です。副作用に十分注意しながら少量から開始します。ただ効果のない量(主に副作用がないか見るための量)で続けても効果が望めないため、病気に対し効果のある量まで増やしていきます。

※基本的にお薬(漢方薬も含め)は副作用があれば中止します。ただ効果と副作用は裏表のことがあり、睡眠薬を服用して翌日少し持ち越す(この場合は副作用になります)といった場合は用量を少し減らして、持ち越しをなくすようにするなどの対応を図ります。

※このため、お薬は用法用量を守って服用してください。また、服薬した効果や変化を受診時にお伝えください。