対象疾患|【公式】神宮前駅こころのクリニック|熱田区神宮前駅の心療内科・精神科

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対象疾患

対象疾患

前ページではよく相談を受ける、あるいは問診の中でよく聞かれる症状(あえて専門用語にまとめず、患者様の`生の表現`を残してあります)をまとめてみました。
このページでは、当院で対象としている代表的な疾患とその疾患ごとによくみられる症状をあげてみます。前ページの症状は、これらの疾患のいずれかでみられるような症状とも言えます。ただ、「こうした相談内容だから、この疾患になる」と言えるほど、単純ではありません。相談内容の細かなニュアンスや、付随する症状、ご自身では気づいていないような所見や問診内容などもあわせて、診断を考えていきます。

うつ病(単極性うつ病)

うつ病は、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神状態で、不眠や食欲不振、疲れやすさ、集中力の低下などの身体的症状が現れ、日常生活に支障が生じてきます。精神的、身体的ストレスを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態であり、ものの見方や考え方が否定的になる傾向もみられます。
うつ病は気分障害の一つですが、気分障害にはうつ病との鑑別が重要な双極性障害などがあります。
気分障害=うつ病(単極性うつ病)+双極性障害+その他 とイメージしてください。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害はハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す病気とイメージする方が多いかと思います。ただ、近年の知見では双極性障害は、もっと複雑で様々な症状がみられることがわかってきました。
単純に「躁」と「うつ」の症状だけではありません。「躁」はほとんどわからないくらいに軽かったり、短期間しかみられない場合があり、気づかれないことがむしろ多いです。「うつ」の症状も、単極性うつ病と区別がつかないケースから、一見「うつ」には見えないような「うつ」の症状まで幅広い症状がみられます。また双極性障害のうつ病(双極性うつ病)とうつ病(単極性うつ病)では治療が全く異なります。

気分障害(うつ病、双極性障害)は精神科の疾患の中でも特に重要と考えています。気分障害には`気分`(=大まかに憂うつさ・高揚感、活動性の高さ・低さと考えてください)の問題だけでなくその他のあらゆる精神症状(幻覚妄想、不安、パニック、強迫症状、多動、衝動的な行動など)がおこり得ます。また、このような`気分の症状`以外の症状があると、これに隠されて根本原因の気分障害が見落とされやすくなってしまいます。このため、`気分の症状`がなくても他の精神症状があるときは、気分障害の可能性を考えておくことが大切です。

また、お困りの方の多い「うつ」の細かな鑑別が重要と考えています。「うつ」はうつ病、双極性障害以外にも、適応障害や統合失調症、不安障害、認知症の初期症状、あるいは病気ではない範囲の気分変化でもおこります。これらは、それぞれ治療法が異なってきます。「うつ」が何からおきているか? 適切な治療は何か? を検討していきます。

※ 気分障害、特に双極性障害については別のページでさらに詳しく説明しています。

統合失調症

統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなり、そのため幻覚や妄想などの症状が起こります。幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。自分の噂や悪口が幻聴として聞こえてくるなどの症状もみられます。妄想には、嫌がらせをされていると思い込む被害妄想や、インターネットやテレビが自分に関する情報を流していると思い込む関係妄想などがあります。
周囲から見ると、「独り言を言っている」「悪口を言われたなどの被害を訴える」「話がまとまらず支離滅裂になる」「一人でいることが多い」などがサインとして表れます。本人には現実味があり、それが病的な症状だとは気づきにくいものです。早く治療を開始するほど、回復も早いといわれていますので、ご家族や周囲の方がサインに気づいたときには、早めにご相談ください。

適応障害

適応障害とは、職場や学校などの環境の変化や人間関係の変化がストレスになり引き起こされる、抑うつや不安感などの精神症状や行動面に変化が現れて社会生活に支障をきたす病気です。
適応障害の症状には様々なものがあり、それらは、受けているストレスや環境、本人の性格などによって現れ方が異なります。情緒面の症状は、抑うつ気分や不安感、感情の高ぶり、集中力の低下などが挙げられます。また、これらの症状によって不眠やめまい、動悸などの身体症状が現れることもあります。
一方、行動面の症状としては、普段のその人らしからぬ発言や行動(すぐに怒る、容易に感情的行動をとるなど情緒的安定さ)から社会生活に支障をきたすことがあります。
単極性うつ病や双極性うつ病と区別のつきにくい症状ですが、適応障害による症状は、原因となるストレスがなくなると改善されるのが特徴です。通常、ストレスが消失してから6ヶ月以上症状が続くことはないとされています。
治療としては、まず、ストレスの元に気づくことです。その上で、ストレスから逃れることが可能であれば、一旦ストレスを取り除いた環境で過ごすことが大切です。

強迫性障害

強迫性障害は、自分でも無意味、不合理であると分かっていながら、何度も繰り返し確認や同じ行為を繰り返してしまう状態です。たとえば不潔に思い過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないなどがあります。治療によって改善する病気です。こうした「〇〇しないといられない」ことで、つらい思いや不便を感じるときにはご相談ください。
また近年の研究では、前述のような葛藤(不合理とわかっているのにやめられないという感覚)がないタイプの強迫性障害も指摘されています。物の溜め込み、順番や位置へのこだわり、自身の感覚にぴったりくる感じを求めて繰り返すタイプが多いとされています。こうしたケースでは、自分自身は困っているという感覚が乏しいとされます。

パニック障害 

めまいや動悸、吐き気、発汗、窒息感、手足の震えといった症状が、突然理由もなく起こります。そのために生活に支障が出ている状態がパニック障害です。「死んでしまうかもしれない」というほど強い不安に襲われますが、検査しても体の異常はなく、短時間で症状は一旦消失します。ただし、発作は繰り返すことと、発作を繰り返している間に「また起きるのではないか」という予期不安が形成され、おきやすい場所や状況を回避するようになるなど、慢性的に生活に影響をきたしてくることがあります。
双極性障害も強い不安をきたすことがあり、パニック障害との鑑別が重要です。この二つの疾患でも治療が異なってきます。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害は、死の危険に直面したのちに、自分の意志とは関係なく、その記憶をフラッシュバックのように思い出したり、悪夢として見たりすることが続きます。不安、緊張が高まったり、つらさのあまり現実感がなくなったりする状態になります。つらい症状が続いているときはご相談ください。

発達障害

代表的な発達障害には、①自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症などを含むグループ)、②注意欠陥多動性障害(ADHD)、③学習障害(LD)があります。
①はコミュニケーションが苦手で「場の空気が読めない」と言われたり、こだわりが強いなどの特徴があります。
②は落ち着きがない、じっとしているのが苦手、興味がない会議や授業ではすぐに上の空になってしまうなど多動性や注意のコントロールの苦手さがあります。また、こうした特徴から、スケジュール管理や同時並行で作業をすることが苦手、片付けが苦手といったことが生じてきます。
小児期から発達障害と診断されるケースと、大人になってから診断されるケースがあります。大人の発達障害の場合は、職場などの環境に対する不適応でみつかることが少なくありません。
発達障害には、気分障害の合併が多いとも言われ、今困っているのが発達障害なのか合併する気分障害なのか鑑別することも重要です。また、ADHDの衝動性の高さからおきてくる問題は、双極性障害の衝動性の高さと区別が非常に難しいことがあります。この治療も、二つの疾患で大きく異なってきます。
※ 心理士による、詳細な心理検査が施行できるようになり、より詳細な診断ができるようになりました。また発達障害の方のカウンセリングも行っています。

睡眠障害(不眠症)

睡眠障害とは睡眠に何らかの問題がある状態をいい、最も多いとされているのが不眠症です。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害により、必要な睡眠時間が十分に取れず、睡眠の質が低下することで日中の疲労、集中力の低下、不調、気分変調などが起こります。
睡眠障害の治療では、生活習慣や睡眠環境を整えることが大切です。起床・就寝時刻を一定にして生活リズムを整えます。日中は適度に活動的に過ごし、寝る前のカフェイン、喫煙、アルコールは控えます。入浴で程よく身体を温めることも効果的です。就寝する部屋は快適な温度と湿度を保ち、できるだけ外の音は遮断して照明も適度に暗くしましょう。
生活習慣や環境を整えても改善しない場合には薬物治療が検討されます。眠れないことは、かなりつらい状態です。さらに他の疾患の原因にもなるため、無理をせずご相談ください。

自律神経失調症 

自律神経は全身の器官をコントロールしています。自律神経失調症になると、このバランスが崩れ全身の機能に支障をきたし様々な症状が現れます。自律神経失調症の原因は、一人ひとりの症状が違うようにそれぞれ違いますが、生活リズムの乱れ、過度なストレス、環境の変化、ホルモンの影響などが考えられています。

心身症

「心身症」は、特定の病気を指すのではなく、心理的要因が病気の発症に大きく影響する病気の総称です。そして基本的には「身体」の病気です。
定義としては「心身症は身体の病気であり、その発症や経過に心理・社会的因子が大きく影響しているもの」です。心理社会的因子とは、言い換えれば「ストレス」のことです。
心身症におけるストレスは、その発症や経過、慢性化の要因のひとつとして考えられていて、生物学的には脳に作用して身体の機能、自律神経系や免疫系などに影響をおよぼすとされています。
いずれも、体の症状が前景ですので、心療内科や精神科にいきなり受診することはあまりなく、その症状によって他の科にかかり、なかなか良くならなかったり、あるいは主治医に薦められて初めて受診となることが多いようです。

認知症

認知症とは認知機能(記憶力、日付や場所の認識、計算、図形の認識、地図の認識など)が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。アルツハイマー型認知症が認知症の中で最も多く、脳の一部が萎縮していく過程で生じてきます。もの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。次に多いのが脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)による血管性認知症です。障害を受けた脳の部位により症状が異なります。ゆっくり進行することもあれば、急速に進むケースもあります。三番目の原因疾患は、レビー小体型認知症とされています。認知機能の低下に加え、現実に見えないものが見える幻視や動作が緩慢になったり歩幅が小刻みになったりする症状がみられます。
認知症では病初期に多いうつ症状をはじめ、怒りっぽくなる、家族に対しても猜疑的になる等の精神症状を伴うことが多く、特にこうした症状は精神科での対応が必要になることがあります。
アルツハイマー型認知症等では比較的早期から服用を開始することで、症状の進行を抑える薬があります。
なお当院では頭部CT、MRI等の画像検査が行えないため、必要時他院での画像検査をお勧めすることがあります。
※ 認知症については別のページでさらに詳しく説明しています。